IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)(冨山和彦著)
こんにちは、Uです。
本日は、僕が現在読んでいる本の内容を紹介します。
産業再生機構や経営共創基盤で 活躍、現在も数々の日系大手企業で社外取締役等を務める冨山和彦さんの著書です。
巷に転がる数々の経営分析手法がありますが、著者の「生きるか死ぬかの現場」での経験に裏付けられた「本当に現場で役立つ経営分析ノウハウ」が詰まった一冊となっています。
経営コンサルタントとして働く中でも役立つ、新たな視点が詰まっています。本日は本書の中で気になったフレーズ、その時僕が感じたことを書いたメモを公開したいと思います。
>今回の東日本大震災で、在庫回転率が良く手持ち在庫がほとんどなかった企業がすぐに操業停止に追い込まれたのはその例である。
ポイント:近年の流行で、最小限の在庫保持やCCC等の経営分析指標があるけれど、各企業が重視すべき指標は業界・業種・企業ごとの特性に応じて決めるべきであって、流行に流されるべきではないと語られています。
>隠れた病気を発見し、今後の治療と将来の予防に役立てるのがリアルな経営分析であって、過去を評価するためのものではない。目線はつねに未来に向いている。
ポイント:過去の数字だけ眺めていても、何の意味もなくて、”未来の行動への示唆に如何につなげられるか”が経営分析の本質だと改めて気づかされます。
>財務指標というのは、個別に見ればかなり違うはずの各企業を同じ土俵に載せて、同じ指標で手っ取り早く比較するためにある。
ポイント:されど会計、たかが会計。財務諸表は決断の一要素であって、すべて信じ込んでも行けないし、全く無視すべきものでもない。その塩梅こそ、経験を通じて僕たちが鍛えていくべきスキル。
>リアルな経営分析では企業ごとの実態の違いに目を向けなければいけない。すべてをひと括りで扱う投資家向けの財務分析の世界と違い、リンゴとミカンを一律指標で分析・比較してはならない。
ポイント:「会計市場がすべて」と思い込むのは危険です。
>資生堂やコーセーのように、デパートなどの店舗で美容部員が対面販売する、いわゆる制度品メーカーと、花王やマンダムのように、スーパーや薬局の商品棚からお客がセルフで選んで買う、一般品メーカーでは、同じ化粧品メーカーでもまるで違う。
ポイント:「化粧品メーカー」という括りで各企業を評価するのはあまりにも雑で、会計指標等を用いて経営分析を実施する際には、「企業の特徴」を徹底的に深堀する姿勢が必要。
>経営分析はナマの事業モデルをつかまえることからスタートする。ミカンとオレンジは、よくよく見ないと区別がつかない。
ポイント:ミカンとオレンジの違いに気づかず経営分析を実施する専門家が多すぎるが、違いに気づこうとする姿勢がスタート地点。
>「結局どうなのか」を知るには、売り上げインパクト、コストインパクトの大きな部分に目を向ける必要がある。
ポイント:生きるか死ぬかの瀬戸際の世界では、「結局その企業が生き残るにはなにを重要視すべきか」という視点が不可欠。数々の経営分析手法ドリブンで物事を語っても何の解決にもつながらない。
>イマジネーションは体験しないと育たない。場数を踏む意味はそこにもある。
ポイント:財務諸表の数字を見て、企業の姿が見えてくるレベルまで場数を踏む必要がある。それが一流への道。
>経営分析はまず数字から。数字をもとに背後にある企業実態を想像する。出てきた仮説を現場に足を運んで検証して企業の実像に迫る。その繰り返しで分析の質を高める。
ポイント:数字から企業実態の推測⇔実際に現場を見た検証 二つの繰り返しこそ唯一の経営分析スキルアップ手法。
>個々のドラマを洞察する意味で、 PLが重要な手がかりであることは間違いない。
ポイント:そうはいっても、「PL」は全ての基本で、出発地点。
>あるトランザクションを費用として計上する( PLに記載する)のか、債務として認識する( BSに記載する)のか、解釈の幅がある
ポイント:会計基準、各社の判断によって財務諸表の数字は姿を変える。財務諸表の数字がすべてを信じるに足りない理由。
>CSというのは、 PLと BS上を行き来しているトランザクションのうち、現金に関わる項目だけを取り出してつくった計算書である。
ポイント:CSは「現金に関わる」点で、3表の中で唯一「ごまかしの効かない」重要な指標。
>政府が管理するための大福帳モードの決算書と、民間企業と同じ複式簿記による決算書があって、大福帳モードのほうでは借り入れが全部収入に立っていた。
ポイント:行ってしまえば、財務諸表はいくらでも操作可能。本当に企業の実態を表現しているとは言えない。
>財務三表を頭で読んでいるうちはダメで、慣れてくると、全体を景色として眺められるようになる。
ポイント:このレベルになるには、やっぱり簿記という基礎が大切。
>この数字をいじると、こことここに影響が出るという相関関係がわかるようになり、不自然なものを見て不自然だと気づく感性が養われる。
ポイント:ある意味、ここが簿記学習の最大のゴールであり、目標
>訓練を積んでおけば、なぜこんなに現金があるのだろうとか、 BSのほうは在庫が減って資産を圧縮しているように見えるのに、一方で、妙に借り入れが増えているということはなぜだろうと考え始める。「なぜ」という疑問が浮かんでくることが重要だ。
ポイント:簿記は重要。
>新聞の経済部の記者なら、最初に簿記を叩き込めばいいのに、そういう勉強はしない。
ポイント:簿記は重要視されながらも、軽視される傾向がある。
>機械的にひたすら仕訳して、それを PL、 BSに持っていくような地味なトレーニングをやらされて、当時は、大学院まで来てなんでこんなことをしなければいけないんだと思ったけれども、今振り返れば、やっておいてよかったと心底思う。
ポイント:仕訳は地味な作業だけど、やっておいて損はない。若い今のうちに向き合っておきたい。
>現場で使える経営分析の能力は、しっかりした簿記の土台の上に築かれる。
ポイント:簿記は重要。
>えらそうなことを言っても、結局相場次第という商売は少なくない。仕入れ価格がものすごく上下する会社は、みんなそういう要素を持っている。
ポイント:まさに的を射ていて、重要な考え方。
>世の中は教科書通りには運ばない。本当の観察力、想像力は経験を積むことでしか培われない。そして、その学習スピードは、数字と人間の両方に対する「好奇心」次第。
ポイント:経営分析の入り口は数字と人間に「好奇心」を持つこと。
>経営陣の改革への意欲とタイミング。それがピタリと一致しないと、いくら正しい診断力があって、正しい処方箋を書く力があったとしても、外部の人間にできることは限られている。
ポイント:改革にはタイミングと機運が極めて重要な要素になる。
>経営改革者たる者、情熱や志の前に、まずはクールでリアルな経営分析力を持っていなければ、革命は絶対に成功しない。
ポイント:勢いだけでは改革は絶対に成功しない。冷静な分析に裏付けられたクールな思考は必要不可欠。
>ただ、たとえば前のめりになりがちな会社について、その会社のクセとして、前のめりに転ぶのはしかたないと思っているのか、それとも、老化現象で単に筋力が衰えて足が上がらなくなっているのか、あるいは、自分では足を動かしているつもりでもうまくコントロールができないパーキンソン病のような病気が隠れているのか、それは本人には判断がつかないので、第三者に診断してもらう必要がある。それをやっているのが我々の仕事である。
ポイント:経営管理は「守り」、人事は「攻め」の要素あり。
>リストラをやって、退職金を払うと、日本の場合は特別損失にカウントされる。ところが、米国ではリストラのときの退職金はもともと営業費用にカウントされる。日本のように 10年、 20年に 1回しかやらなければ特別損失と言えるかもしれないが、米国では頻繁に人員整理が行われるので、何ら特別なことではないからだ。これを一律に揃えることは、かえって誤解を招く。 国際会計基準では、 PLの代わりに包括利益計算書を導入するという。従来の PLで営業利益の下、特別損益に分類されていた固定資産売却益やリストラ費用などが営業利益の上にくる。そうすると、利益が減ってしまうことになるので、何とか営業利益に影響しない方法はないかと考える人が出てくる。
ポイント:多様な企業をIFRSという同じ土俵に乗せようとすることは無理がある。かえって、企業ごとの姿が見えにくくなる効果もある。
>だが、「規模が効く」というのは、2つの要件を満たす必要がある。あるコスト費目について、売り上げが大きくなっても、お客の数が増えても、品数が増えても、さほどコストが増えない費目(共有コスト)がある場合。なおかつ、それが全体の事業コスト構成比の中でかなり大きな割合を占めている場合である。 どれだけ量が増えようが、お客が増えようが、品種が増えようが、ほぼ不変のコスト(共有コスト)が大きな割合を占めていれば、増えれば増えるだけコスト効率が良くなる。規模の経済が働くのは、この共有コストが厚い場合に限られる
>飛行機というのは搭乗客数によっては変化しない固定費のかたまりなので、どれだけ乗るかで儲けは決まる。つまり、基本的には稼働率の話なのだ。あれだけ巨大な航空会社に囲まれても、規模の小さい格安航空会社( LCC)が成り立っているのは、高い稼働率で飛ばすことができれば儲かるからである。
ポイント:だからこそ、コロナは業界にとって大打撃。
>飛ばすのがいちばん効率的で、 LCCはハブ&スポークの裏をかいて、そういう路線だけを飛ばしているから安くても儲かるのだ。
ポイント:なんで大手航空会社の穴があるのかわかった。
>安易に「規模が効く」と思い込むな。まずはありのまま現実を凝視し、本質を洞察せよ。
>ビジネスを考えるときに、付加価値率、管理可能コスト比率がどれだけ大きいのかは、とても重要な視点になる。これが小さいということは、自分自身の運命をコストサイドにおいてコントロールできる要素がきわめて小さいということを意味する。
>利幅が薄いので、相対で取引するときに条件交渉をするのがつねである。この商品は儲かるけれども、この商品はあまり儲からないとか、売れる商品と抱き合わせで他の商品を送り込むとか、商品ごとにきめ細かく対応していかないと、どんぶり勘定ではすぐに利益が吹っ飛んでしまう。
ポイント:いわゆる現場で丁寧な営業が必要なタイプ。まさにこのタイプ。
>付加価値と共有コストが薄い業種では、売り上げ規模と利益率が正の相関を示さないこと。売り上げが大きくなっても利益率は上がらず、むしろ、右肩下がりのグラフになる。つまり、規模が効かない。むしろ規模の不経済が働いている。
>システムという響きからは、規模が効きそうとの印象を持つかもしれないが、規模と収益性のグラフを見ればわかる通り、規模の不経済が働く傾向にある、企業個別にシステムソリューション(個別企業にテーラーメイドでシステムを構築)を提供している多くのシステムインテグレーターでは、付加価値率は高いものの、個別の案件間での共有コストはとても薄い。
ポイント:人材の流用性の面では共有余地があると考えるけども、確かにそれ以外で規模の経済が効きそうな要素は少ない。
>ちなみに、汎用的なパッケージ製品を先行的に開発して、それを売りさばく事業モデルをとっているシステムプロバイダー、あるいはデータセンター事業や BPO事業などの装置産業型の事業をしている企業では、規模効果がそれなりに享受できる。
>規模を拡大しても効率化されにくいこともあり、お菓子の卸は地元密着の小さな会社がほとんどだった。商品を調達して運ぶという物流機能だけではなく、資金繰りがきついときは支払いサイト調整をしたりする金融機能も果たし、こういう商品が売れ筋ですよという販売支援まで世話をしていた。メーカーとしてはなかなかそこまでやりきれない。だから卸の存在価値があった。
ポイント:まさに卸の存在価値
>範囲の経済
>シナジーの根拠になっている「範囲の経済」「規模の経済」は、そう簡単には効いてこない。そこに介在する人間のスキル、動機づけ、情緒といった問題や、一見、共通化できそうで、子細に見ていくと実に多くの調整要素があって調整コストのほうが共有コストより大きくなるケースも多い